はじめに
この記事では、
「伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR」を読み、
OKRを導入した現場で3年ほど仕事をしてみた自分の体験と照らし合わせ、
自分が現時点で考えている、
OKR導入におけるメリットと注意点についてまとめました。
現場でOKRを導入すると得られるメリット
自分が現時点で感じている
現場でOKRを導入すると得られるメリットは以下のとおりです。
が、、、
実際の現場では思うようにメリットが得られないことも場合によってはあり、
その辺りのリアルな部分もついでに紹介できる範囲で紹介していきます。
OKRは全員の努力の方向性を揃える
OKRを導入することで会社が目指す方向性と個人が目指す方向性が一致するため、
全員の努力が違う方へバラバラに向かうのを減らせる。
お互いの足を引っ張り合うのを減らせる。
部署間でもお互いが自然と協力し合える。
といった効果があります。
ただ、自分の経験では、
特に部署間が自然と協力しあ得るようなところまで、
OKRを浸透させるのはなかなかハードルが高いと感じます。
そのためOKRの効果を十分に得られない、
中途半端な形だけの導入になっているケースも現場ではあります。
OKRを効果が発揮させるくらいに浸透させるには
- OKRの導入を社員に納得させられる説明をする
- わかりやすく計測も簡単なOKRを全員が作れるレベルにする
- 普段からOKRを意識して自分だけでなく会社や部署のOKRも理解して意識できるようにする
- 定期的に(最低2週に1回くらいのペース)振り返りをする
などが必要になると思いますが、
上記のリストを見たらわかるとおりその浸透までの道のりが長いです。
特に、自分のだけでなく隣の部署のOKRまで理解するには、
隣の部署のOKRを誰が見てもわかるものであり、
自分がOKRへの意識が浸透している必要があります。
4半期に一度「やらされて」OKRを立てて、
OKRを見るのが年に4回というような、
形だけでやってる社員ばかりな組織では、
OKRの効果が十分発揮されません。。。
(が中途半端な導入をしたらほとんどそんな感じになります)
社員にOKRが必要な意味を説明して納得させ、
OKRを浸透させられて普段の業務で常に意識できる組織を作るのは、
マネージャーへの負担が高いという裏の一面も理解し、
中途半端な導入をすると、
余計な負荷や工数だけがかかるので、
導入を諦めた方がいい場合すらあるのかもしれません。
OKRにより重要なことに集中でき重要でないことを明確にできる
普段、上司や他部署からの横槍が多く、
全てのタスクの優先度が高く(そう感じて)、
自分が一番やりたいタスクに着手できない。
そのようなことが現場ではよくあるかもしれません。
OKRでは最も優先することを絞り込んで、
それに集中することで作業効率を落とさず最短で優先度の高い目標のゴールに向かうことができます。
少ない矢を全力で打つ組織が勝つ組織だというような表現も本ではされていましたが、
あれこれタスクが無茶振りされた時に、
自分も優先度付けに迷わず、OKRが全体で浸透していれば、
周りもよくわからないタスクを振って作業効率が下げたりはできないはずです。
ただ、
これに関しては、
OKRを好き勝手に各自が立ててそれ以外はやらないと言い始めると
崩壊してしまうのと、
逆に何でもかんでもOKRよりも上司や偉い人からの指示が優先されるだと
それはそれでOKRを導入しているとは言えないので、
バランスが重要なのかなと思います。
例えば、
OKRの6割は会社もしくは部署として必ず達成しなければならないOKRに紐づくOKRを立てて、
OKRの4割は野心的でもっと先を見据えたチャレンジングでワクワクするOKRを立てる
といった例もあります。
OKRはやることだけでなく、やらないこともはっきりさせるので、
OKRを決める際はお互いが納得できるまで議論して確定させるのがいいのかなと思います。
そのOKRでOKを出すということは、
上司側も覚悟を決める必要があるのです。
OKRにより全員が組織の成功と結びつくことでやりがいが生まれる
OKRが正しく決められ、浸透してくると、
組織の成功のこの部分で自分は貢献できたというやりがいを
全員が感じられるようになります。
自分一人では達成できないような高い目標を、
仲間と協力して成功させられることは、
自分の成長や仲間との絆を深めることにも繋がると思います。
ここまでで述べたように、
正しいOKRを設定してOKRを全員に浸透した組織になっていることが
前提であり、そこまでの道のりが長いという一面もあります。
OKRにより安全地帯(コンフォートゾーン)のはるか先へ押しだされる
OKRでは、全てではないですが、
達成が60~70%くらいでよしとする野心的なものにする場合があります。
困難で具体的(達成イメージが湧く)な目標は、
パフォーマンスを高めるという研究があったり、
作業への関心を高め、活動の楽しい側面の発見にも繋がるという効果もあります。
野心的なOKRと、会社や事業存続のために必ず達成すべきOKRと
これらをどの割合で立てるかという観点もOKRを決める際には重要になります。
先を見据えた野心的なOKRばかり立てていても、
直近の利益が出せず会社が生き残ることができなかったり、
事業存続のためになんでもかんでも利益優先のOKRが上から決まって、
実質下はそれに従うしかないのであればOKRの効果は半減します。
ただ、自分の経験上ここの判断は難しく、
どうしても、結局目先の利益に行きがちです。
最悪、せっかく野心的OKRを立てていても、
上司から優先度を変えられたりするケースすらあります。。。
4半期の途中で状況が変わるこもあり、
OKRを柔軟に変更する必要が出るケースも確かにありますが、
いつでもそうなってしまい、それが当たり前な状況になるなら、
マネージャーの負荷や工数をかけてOKR導入をするのは無駄な気がします。
OKRにより全員の責任範囲が明確になる
個人の目標を立てて、期末に自己評価して上司評価されるような場合、
隣の人が実は自分と同じような目標を立てていた。
ということも大きな企業の場合あったりします。
OKRは、
自分だけ独立した目標を立てるわけではなく、
会社、部署の目指す目標につながるものを作り、
公開し、自分の責任範囲を明確にすることになります。
そうすることで、
他メンバーと実は同じことをしていたということを避け、
会社や部署への貢献度もはっきりするので成果主義を推し進めることにもなります。
(実際貢献していないのに評価されたり、貢献しても評価されないという不公平が起きにくくなる)
ただ、
こここでもOKRが機能していることが前提になり、
OKRは4半期毎に立てて終わりとか、
隣の人のOKRや部署のOKRは知らないとか、
そういう組織では全く効果がありません。
現場でOKR導入する際に気を付けること
ここまでOKR導入によるメリットについて見てきましたが、
ここからは僕が考えるOKR導入時の注意点について見ていきます。
失敗を恐れる必要がない環境づくり
特に野心的なOKRを立てる場合、
失敗することもあります。
その結果が直接報酬と結びついてしまう場合、
OKRを無難なものに設定したり、実力を隠したりすることになりすることにつながります。
失敗が報酬に結びつかないとか、
失敗しても振り返りをして、
前向きに捉えて次のOKRを立てるのに活かす
といった組織や環境づくりがOKR導入時には必要だということに
気をつけておきましょう。
リーダーや経営幹部はOKRに対して全力で取り組む姿を言動で見せる
メンバーの上に立つ場合は特に先頭に立って、
困難なOKRに取り組む姿勢が重要です。
口だけではメンバーはついてきません。。。
うんざりするほど繰り返してOKRを浸透させる
個人的にはこれがOKR導入における最も基本的で最も重要で最も大変なことだと思います。
OKRはなぜ必要なのか??
この四半期で立てたOKRは部署や隣のメンバーも含めて何で、
進捗具合はどうなのか??
ひたすらそれを繰り返して、
組織全体で浸透させていくことは、
中途半端な覚悟では難しいのと、
中途半端な導入をするくらいならやらないほうがいいということに、
気をつけましょう。
(最悪、マネージャーが疲弊して終わるだけになります)
まとめ
今回はOKR導入におけるメリットと注意点について、
本を読んだ内容と自分の体験とを照らし合わせながら
まとめてみました。
OKR導入で確かにいい表の面もあるのですが、
それは裏で泥臭くOKRを浸透させてはじめて得られるということと、
中途半端なOKRの導入ではメリット半減だけでなく、
マネージャーがかなり疲弊する。
という点は十分理解した上で導入すべきだと思います。